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創業の話をホームページに:滋賀の会社の“なぜ”の伝え方

2026.10.07 · 読む時間 約9分 · 木下スタジオ 木下貴博

創業の話をホームページに:滋賀の会社の“なぜ”の伝え方

滋賀で長く続いてきた会社や、思いを持って始めたお店には、必ず「なぜこの仕事をしているのか」という話があります。けれど、ホームページの創業の話や代表のあいさつは、年表と決まり文句だけになっていて、読まれないまま終わっていることが少なくありません。この記事では、創業の話を、見る人の役に立つ“なぜ”として伝える組み立て方と、聞き取りの質問、写真の選び方、ページへの置き方までをお伝えします。

創業の話は、会社の「昔話」ではない

創業の話というと、「昭和〇年、先代が〇〇町で創業」と年表のように書きはじめることが多いものです。もちろん、続いてきた年月は大事な事実です。ただ、はじめてホームページを見に来た人が知りたいのは、昔の出来事そのものより、「この会社に頼んで大丈夫か」「どういう考えで仕事をしているのか」ということです。

創業の話は、その問いに答える材料です。なぜこの仕事を始めたのか。なぜやめずに続けてきたのか。なぜいまのやり方をしているのか。この“なぜ”が伝わると、見る人は、この会社がこれからどう仕事をしてくれるかを想像できるようになります。昔話ではなく、いまとこれからの話として書く。それが、読まれる創業の話のいちばんの分かれ目です。

読まれない創業の話

  • 年表を上から順に並べている
  • 「お客様の笑顔のために」などの決まり文句で終わる
  • 会社の内側の人にしか分からない話が多い
  • いまの仕事とのつながりが書かれていない

伝わる創業の話

  • 始めたきっかけを、具体的な場面で書いている
  • 続けてきた理由が、いまのやり方につながっている
  • はじめて読む人にも分かる言葉で書いている
  • 読んだあと、何を頼めるかが分かる

図1 読まれない創業の話と、伝わる創業の話

“なぜ”を伝える3つの段

創業の話は、長く書く必要はありません。3つの段に分けて考えると、短くてもまとまります。はじまりの場面、続けてきた理由、これからのこと。この順に並べると、昔の話が自然にいまの仕事へつながります。

01

はじまりの場面

何がきっかけで始めたか。そのとき困っていたこと、見ていた景色。

02

続けてきた理由

やめなかったのはなぜか。守ってきたやり方、変えなかったこと。

03

これからのこと

いま誰に、どう役に立ちたいか。読んだ人に頼んでほしいこと。

図2 創業の話を組み立てる3つの段

はじまりは「場面」で書く

「地域の役に立ちたいと思い創業」のような書き方は、どの会社にも当てはまってしまいます。それよりも、創業のときの具体的な場面を1つ書くほうが伝わります。たとえば、近所の人から何度も同じ修理を頼まれた。勤めていた工場で、誰も引き受けない仕事があった。家の田んぼの米を、自分で売ってみたかった。場面が見えると、読む人の中でその会社の姿が立ち上がります。

続けてきた理由は「やり方」に出ている

長く続けてきた会社には、変えなかったやり方があるものです。見積りを必ず現場で出す、同じ職人が最後まで担当する、材料は近くで仕入れる。そうしたやり方の中に、続けてきた理由が出ています。「誠実に」と書くより、誠実さが出ている具体的なやり方を書くほうが、読む人は納得します。

これからのことで、読む人につなげる

最後の段で、読む人に向けて話をつなげます。いま、どんなお客さんの役に立ちたいのか。どんなことなら相談してほしいのか。ここまで書くと、創業の話が「いい話でしたね」で終わらず、問い合わせの手前まで読む人を連れていけます。創業の話のページの終わりには、問い合わせや相談への入口を置いておくと、読み終えた人がそのまま次に進めます。ページの終わりの組み立ては「問い合わせが来るホームページ」で書いています。

話を引き出す聞き取りの質問

自分の会社の話を自分で書こうとすると、どこが大事なのか分からなくなることがあります。当たり前になっていることほど、外から見るとその会社らしさだったりします。代表の方やご家族、長く働いている方に、次のような質問をして、答えをそのまま書き留めてみてください。

創業の話を引き出す質問

  • 始めたとき、いちばん困っていたことは何でしたか
  • やめようと思ったことはありますか。それでも続けたのはなぜですか
  • お客さんに言われて、いまも覚えている言葉はありますか
  • ほかの会社なら省くけれど、うちは省かないことは何ですか
  • この仕事を始めたころと、いまで変わったこと・変わらないことは
  • これから、どんな人に頼んでほしいですか

答えは、話し言葉のままで大丈夫です。むしろ、話し言葉のほうに、その人らしい言い回しが残っています。整えすぎると、どこかで読んだような文章になってしまいます。聞き取った言葉を残しながら、読みやすく並べ直すくらいがちょうどいい加減です。会社紹介の文章全体の書き方は「会社紹介の文章の書き方」にまとめています。

「自慢に聞こえないか」が気になるとき

創業の話を書こうとすると、「自分たちのことを良く書くのは気恥ずかしい」「自慢に聞こえないか」と手が止まる方も多いです。そんなときは、自分たちの立派さではなく、お客さんとのやりとりを中心に書いてみてください。「こう言われたから、このやり方を続けている」という書き方なら、自慢ではなく、仕事の理由として読んでもらえます。失敗したことや、うまくいかなかった時期を正直に書くのも一つの手です。苦労を大きく見せる必要はありませんが、そこから何を変えたのかが書かれていると、読む人は「この会社は直しながら続けてきたのだ」と受け取ります。

身内の話になりすぎないように

反対に、家族や社内の思い出話が多くなりすぎることもあります。先代の口ぐせ、社内で語り継がれている出来事は、書いている側には大切な話です。ただ、はじめて読む人には背景が分からないこともあります。1つ書くたびに「これは、いまのお客さんにとってどういう意味があるか」を添えてみると、身内の話が、読む人に向けた話に変わります。

ポイント聞き取りは、スマホの録音を使うと楽です。話しているうちに出てくる何気ない一言が、創業の話のいちばん良いところになることがよくあります。あとで聞き直して、気になった言葉に印をつけておきます。

写真と組み合わせると、言葉が短くて済む

創業の話は、文章だけで伝えようとすると長くなりがちです。写真を組み合わせると、言葉は短くて済みます。特に効くのは、人の写真と、手元や道具の写真です。

代表の方の写真は、きれいに整ったものより、仕事をしているときの姿のほうが、その会社の空気が伝わります。長く使ってきた道具、創業のころの店先、受け継いできた帳面なども、文章で説明するより一枚で多くを伝えてくれます。古い写真がある場合は、いまの写真と並べると、続けてきた年月が見えるようになります。

救急車と重機の特装を手がける会社のホームページのデザイン。作っている人を正面から写したモノクロの写真で構成している
制作例:自動車製造業のホームページ。救急車と重機の特装を手がける会社。車だけを見せるのではなく、作っている人を正面から。モノクロで揃えて、車体と人を同じ硬さで見せています。

写真は、プロに撮ってもらうのが難しければ、スマホでも十分です。明るい時間に、窓の光が入る場所で、手元と顔を分けて撮る。それだけで使える写真が増えます。撮り方のこつは「スマホで撮る写真のこつ」で書いています。

滋賀の会社のホームページで、創業の話を置く場所

創業の話をどこに置くかで、読まれ方は変わります。「会社概要」の下に小さく置くと、ほとんど読まれません。かといって、トップページのいちばん上に長い文章を置くと、何の会社かを知りたい人の邪魔になります。滋賀の中小企業やお店のホームページなら、次のような置き方が分かりやすいことが多いです。

表1 創業の話の置き場所と、載せる長さ
場所載せる長さ書くこと
トップページ2〜3行と写真1枚“なぜ”の一言と、続きへの入口
私たちについて(専用のページ)3つの段をそろえてはじまり・続けてきた理由・これから
採用のページ短く言い直して一緒に働く人に伝えたい考え方
会社案内・名刺の裏一文“なぜ”を一言で

トップページには、創業の話の芯になる一言と写真を置き、くわしくは専用のページで読めるようにします。この一言は、会社のキャッチコピーと同じ向きにそろえておくと、ページ全体の印象がまとまります。キャッチコピーの決め方は「キャッチコピーの決め方」で書いています。

近江八幡や守山のような町では、土地の話も

近江八幡のように古い町並みが残る土地や、守山のように新しく住む人が増えている町では、土地との関わりも創業の話の大事な材料になります。なぜこの町で始めたのか、この町のどんな人に支えられてきたのか。地名が入ると、地元の人には親しみが、遠くから来る人には場所の手がかりが伝わります。

  1. 聞き取る質問に答えて録音
  2. 3つの段に分けるはじまり・理由・これから
  3. 写真を選ぶ人・手元・道具
  4. 置き場所を決めるトップと専用ページ
  5. 一言にする名刺や会社案内にも

図3 創業の話をホームページに載せるまでの流れ

見た目も“なぜ”に合わせて組む

創業の話は、文章の中身だけでなく、ページの見た目でも伝わります。長く続いた会社の落ち着きを伝えたいのか、新しく始めた勢いを伝えたいのか。それによって、字の種類や大きさ、写真の色合い、余白の取り方が変わります。中身と見た目の向きがそろうと、読む人は迷わずに受け取れます。

デザインスタジオのZineのデザイン。できることと、考えている順番を1冊にまとめている
制作例:スタジオのZine。できることと、考えている順番を1冊にまとめたもの。何を作るかの前に、どう考えているかを伝える冊子です。

アートディレクターの目線:“なぜ”は、続けたあとで言葉になる

それナル?を運営する木下スタジオの木下貴博は、滋賀でアートディレクションからグラフィック、文字の制作までを一人で手がけています。99lettersという名前で海外のレーベルから音楽をリリースしていて、20年ほど続けてきました。音楽では、偶然できた音色から、いつのまにか1曲になっていきます。個性は先に固めるものではなく、作ったあとに気づくもの。創業の話も、これに近いところがあります。始めたときから立派な理念があった会社は多くありません。続けていくうちに、「うちはこれを大事にしてきたのだ」と後から気づくことのほうが多いはずです。だから、創業の話を書くときは、立派な言葉を探すより、続けてきた中で実際にしてきたことを拾うほうが近道です。そこに、言葉より先にあった“なぜ”が残っています。

滋賀で創業の話のページを頼むなら:それナル?(木下スタジオ)の進め方

それナル?は、滋賀の木下スタジオ(木下貴博)が運営している、小さく頼める窓口です。創業の話のページなら、ホームページ1ページ(相談しながら)49,800円がいちばん合うことが多いです。打ち合わせ1回・修正2回までで、文章の整理も手伝います。いまのホームページに足す場合も、5ページまでの小さなホームページ(98,000円〜)でまとめて作る場合も、先に金額をお出しします。

  • 窓口は1人。聞き取りから納品まで同じ人が受けます
  • 値段を先に出します。文章をゼロから書く場合(1ページ10,000円〜)や撮影など、含まれないものも先にお伝えします
  • 作ったデータはお渡しします。あとで直すときも困りません

近江八幡・守山・大津・草津など滋賀県内を中心に、京都・大阪・名古屋や全国からもオンラインで受けています。打ち合わせは基本オンラインで、必要なときだけ伺います。ホームページのことはホームページのページ、何を載せるかから決めたいときは相談の窓口をご覧ください。返事は24時間以内です(土日祝は翌営業日)。

創業の話がうまく話せるか不安です。

大丈夫です。こちらから質問をして、話していただいた言葉をもとに整理していきます。話し言葉のままのほうが、その会社らしい言い回しが残ります。

創業したばかりで、長い歴史がありません。

年月の長さは要りません。なぜ始めたのか、いま誰の役に立ちたいのか、の2つがあれば、創業の話は書けます。始めたばかりの勢いも、そのまま伝わる材料です。

文章は自分たちで書いて、デザインだけ頼めますか?

できます。ホームページ1ページデザインは19,800円〜(文章と写真をお持ちいただく形・修正なし・スマホ対応)です。文章の整理も手伝ってほしい場合は、1ページ(相談しながら)49,800円が合います。

古い写真しかありませんが、使えますか?

使えることが多いです。古い写真は、いまの写真と並べると続けてきた年月が伝わります。まずは手元にある写真を送ってください。使えるかどうかをお伝えします。

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