新人の手引きを1冊に:滋賀の小さな会社の受け入れ方
滋賀の小さな会社で新しい人を迎えるたびに、「教える人によって言うことが違う」「最初の1週間、何を説明したか誰も覚えていない」と困っていませんか。新人の受け入れを落ち着かせる近道は、教え方を工夫することより先に、新人の手引きを1冊にまとめて、全員が同じものを見ることです。この記事では、手引きに入れること、初日から1か月までの流れ、探しやすい冊子のデザイン、古くしないための決まりまで順にお話しします。最後に、それナル?で手引きを作るときの進め方もまとめています。
新人の受け入れが人によってばらばらになる理由
人数が少ない会社では、新しい人が入ると、近くにいる先輩がその場その場で教えることが多いと思います。それ自体は自然なことです。ただ、教える人が替わるたびに、説明の順番や言い方が少しずつ変わります。
するとこんなことが起きます。Aさんには「これは急がなくていい」と言われ、Bさんには「これは今日中に」と言われる。どちらが正しいのか分からず、新人は聞き返すのをためらう。気づいたときには、小さな行き違いが積み重なっている。
これは、教える人のせいではありません。会社として「最初に伝えること」が、紙になっていないことが原因です。頭の中にしかないものは、人によって少しずつ違って当然です。
手引きがない受け入れ
- 教える人によって説明が違う
- 同じことを何度も口で説明する
- 新人が聞きにくいことを聞けない
- 何を伝えたかが残らない
- 受け入れる側の負担が毎回同じだけかかる
手引きがある受け入れ
- 全員が同じ1冊を見て説明する
- 口では「手引きのここを見て」と言える
- 新人が自分で調べて確かめられる
- 伝えたことに印がつけられる
- 回を重ねるほど手引きが良くなる
図1 手引きがない受け入れと、ある受け入れ
新人がいちばん困るのは「聞いていいか分からないこと」
新しく入った人がいちばん困るのは、仕事の難しさより、ちょっとしたことです。お昼はどこで食べるのか。休むときは誰に連絡するのか。駐車場はどこに停めるのか。こうしたことは、聞けば一言で済みますが、忙しそうな先輩に聞くのはためらわれます。
手引きがあれば、こうした「聞きにくいけれど大事なこと」を自分で確かめられます。新人にとって手引きは、仕事の説明書である前に、安心して最初の数日を過ごすための地図なのです。
新人の手引きに入れること:初日・1週間・1か月
手引きに何を入れるか迷ったら、時間の順に分けて考えると整理しやすくなります。初日に知っておくこと、最初の1週間で覚えること、1か月のうちに分かっていればいいこと。この3つに分けると、新人も「今はここまででいい」と分かり、気持ちが楽になります。
初日
来る時間と場所、連絡先、休むときの連絡、お昼、服装、駐車場
最初の1週間
1日の流れ、よく使う道具やソフト、誰に何を聞けばいいか
1か月のうちに
会社が大事にしていること、仕事の全体の流れ、お客さんのこと
図2 新人の手引きは時間の順に3つに分ける
「誰に聞けばいいか」の表は必ず入れる
手引きの中でいちばん使われるのが、「こういうときは、この人に聞く」の表です。経費のこと、道具が壊れたとき、お客さんからの電話、休みの相談。それぞれの窓口になる人の名前を書いておきます。人の名前が入ると、新人は声をかけるきっかけを持てます。
会社が大事にしていることは、短く・例と一緒に
会社の考え方や大事にしていることは、長い文章にすると読まれません。3つから5つくらいの短い言葉にして、それぞれに「たとえば、こういうとき」という例を添えます。例があると、言葉が実際の仕事とつながります。会社の紹介文の書き方は会社紹介の文章の書き方でも書いています。
新人の手引きに入れるもの
- はじめに:この手引きの使い方と、困ったときの連絡先
- 初日のこと:時間・場所・服装・お昼・駐車場
- 休む・遅れるときの連絡の仕方
- 1日の流れと、1週間の流れ
- 誰に何を聞けばいいかの表
- よく使う言葉の説明(社内だけで通じる言葉)
- 会社が大事にしていること(短い言葉と例)
- 最後のページ:いつ・誰が直したか
図3 新人の手引きのチェックリスト
社内だけで通じる言葉の一覧
見落としやすいのが、社内だけで通じる言葉です。部署や製品の呼び名、略し方、昔からの言い回し。長くいる人には当たり前でも、新人には分かりません。会議や朝礼で知らない言葉が続くと、話についていけなくなります。手引きの後ろに小さな一覧を付けておくだけで、ずいぶん助かります。
滋賀の小さな会社の手引きは「1冊・薄く」
新人の手引きというと、分厚いマニュアルを思い浮かべるかもしれません。でも、滋賀の小さな会社でいきなり分厚いものを作ろうとすると、作るほうが途中で疲れてしまいます。また、厚い冊子は新人も開きにくいものです。
それナル?では、まず1冊・薄くを目安にしています。仕事の細かい手順まで全部入れるのではなく、「最初の1か月に、全員に同じことを伝えるための1冊」と役目を絞ります。細かい作業の手順は、部署ごとに別の紙にして、手引きからは「この作業は〇〇の手順書を見る」と案内するだけにします。
| 新人の手引き | 作業の手順書 | |
|---|---|---|
| 誰が読む | 新しく入った人全員 | その作業をする人 |
| 中身 | 会社のこと・1日の流れ・誰に聞くか | 1つの作業のやり方 |
| 数 | 会社に1冊 | 作業ごとに1枚ずつ |
| 直す人 | 受け入れの担当 | その作業にいちばんくわしい人 |
こう分けておくと、手引きは薄いまま保てます。作業の手順が変わっても、手引きそのものを直す必要はありません。

手引きのデザイン:探せる・読める・直せる
手引きは、最初から最後まで一度読んで終わり、というものではありません。新人は、困ったときに開いて、必要なところだけを探します。だから手引きのデザインで大切なのは、探せることです。
目次と見出しで「探せる」
最初のページに目次を置き、見出しは「休むとき」「お昼」「経費」のように、困ったときに思い浮かぶ言葉にします。「勤怠管理について」のような硬い言葉より、新人がその場で探す言葉のほうが見つかります。ページの端に、章ごとの色や番号を入れておくのも、探しやすくする工夫です。
1ページに1つの話で「読める」
1ページにいくつもの話を詰めると、どこに何があるか分からなくなります。1ページ(またはスライド1枚)に1つの話、と決めておくと、探すときも読むときも迷いません。文字の大きさは、印刷して少し離して読んでも楽な大きさにします。スライドで作るときのコツはパワポの資料を読みやすくするにまとめています。
社内のソフトで作って「直せる」
手引きは、作った後に何度も直すものです。パワーポイントやWord、Googleスライドなど、社内の誰でも開けるソフトで作っておくと、気づいた人がその場で直せます。特別なソフトでしか開けない形にすると、直すたびに外に頼むことになり、だんだん古くなっていきます。
- 書き出す教えていることを全部
- 分ける初日・1週間・1か月
- 削る手順書に回すものを外す
- 型に流す1ページに1つの話
- 試す次の新人と一緒に読む
図4 新人の手引きを作る流れ
受け入れの流れに手引きを組み込む
手引きができても、渡して「読んでおいて」だけでは、なかなか読まれません。手引きは、受け入れの流れの中で一緒に読むものとして使うと生きてきます。
初日は、手引きを一緒に開く
初日のはじめに、受け入れの担当が新人と一緒に手引きを開き、初日のページだけを読みます。全部を説明する必要はありません。「困ったらこの冊子のここを見てください」「誰に聞けばいいかはこの表です」と、使い方を伝えることが目的です。
1週間後と1か月後に、手引きを見ながら話す
1週間後に、手引きの「1週間」のページを見ながら、分からなかったことを聞きます。1か月後には「1か月」のページで同じことをします。手引きが話のきっかけになると、新人も「ここが分かりにくかった」と言いやすくなります。そこで出てきた声は、そのまま手引きを直す材料になります。
草津や守山の会社でも、長浜や高島の会社でも、滋賀の小さな会社の相談を受けていると、受け入れの悩みはよく似ています。毎年のように人を迎える会社でも、何年かに一度しか迎えない会社でも、この流れは変わりません。むしろ人の入れ替わりが少ない会社ほど、次に人が入るときには前回の受け入れを覚えている人が少ないので、手引きの効き目は大きくなります。
パートやアルバイトの方にも同じ1冊を
手引きは、正社員だけのものではありません。パートやアルバイトの方、派遣で来てくださる方にも、初日のページと「誰に聞けばいいか」の表は同じように役立ちます。働き方によって要らないページがあれば、その章だけ外して渡せるように、章ごとに分けて作っておくと便利です。全員が同じ1冊の同じページを見ていることが、職場の行き違いを減らします。
手引きを古くしないための決まり
手引きのいちばんの敵は、古くなることです。書いてある連絡先が違う、手順が変わっている。一度でも「手引きの通りにしたら違った」ということがあると、新人は手引きを信じなくなります。
最後のページに「いつ・誰が直したか」
手引きの最後のページに、直した日と直した人、何を直したかを書く欄を作っておきます。これがあると、どのくらい新しいかがすぐ分かります。直した人の名前があると、その人に聞くこともできます。
新人が来るたびに、新人に直してもらう
おすすめなのは、受け入れた新人に、1か月後に「分かりにくかったところ」を手引きに書き込んでもらうことです。いちばん最近、その手引きで困った人の声ほど役に立つものはありません。新人にとっても、自分が会社の役に立てたと感じるきっかけになります。
滋賀で新人の手引きを頼むなら:それナル?(木下スタジオ)の進め方
それナル?は、木下スタジオ(滋賀・木下貴博)の小さい入口です。チラシやホームページだけでなく、新人の手引きのような社内の資料も相談を受けています。いま口で教えていることを聞き取り、初日・1週間・1か月に分け、社内のソフトで直せる型にしてお渡しします。
| 社内資料のデザイン | 1時間5,000円・延長30分2,500円 |
|---|---|
| 型(テンプレート)を作る | 29,800円〜(一度作れば、次からは社内で使い回せます) |
| 中身の整理から頼む場合 | 内容をうかがってお見積り(無料) |
すでにWordやパワーポイントで作りかけのものがあれば、それを見やすく組み直すところからでも構いません。何を伝えるかを社内で決める話し合いから手伝ってほしいときは、会議の窓口や体験設計の窓口でも受けています。新人が最初に触れる体験を設計する、という考え方です。
窓口は1人で、聞き取りから納品まで同じ人が担当します。値段は先に全部出し、上がるときはその理由も先にお伝えします。作った手引きと型のデータはお渡しします。打ち合わせは基本オンラインで、必要なときは伺います。くわしくは社内資料の窓口に、料金の一覧は料金ページにまとめています。辞める人からの引き継ぎについては引き継ぎ書の作り方もあわせて読んでみてください。
新人の手引きは、どのくらいの厚さがいいですか?
最初は薄いほうが続きます。「最初の1か月に、全員に同じことを伝えるための1冊」と役目を絞り、細かい作業の手順は別の手順書に分けると、手引きは薄いまま保てます。
人がほとんど入らない会社でも、作ったほうがいいですか?
作っておくと助かります。人の出入りが少ない会社ほど、次に人が入るときには前回の受け入れを覚えている人が少ないからです。パートやアルバイトの方の受け入れにも使えます。
今ある手順書やマニュアルを使って作れますか?
作れます。今あるものを見せていただき、新人の手引きに入れるものと、手順書のまま残すものに分けるところから始めます。作りかけのWordやパワーポイントを組み直すだけでも構いません。
手引きを作ったあと、社内で直せますか?
直せます。それナル?では、パワーポイントやWord、Googleスライドなど、社内でふだん使っているソフトで型を作ってお渡しします。気づいた人がその場で直せる形にしておくことが、手引きを古くしないいちばんの方法です。


