部署間の頼みごとを型にする:依頼書テンプレート(滋賀)
「頼んだはずの仕事が、期日になってもできていない」「何を頼まれたのか、あとから分からなくなった」。滋賀の中小企業で、部署どうしの頼みごとについてこんな相談をいただくことがあります。原因の多くは、人ではなく、頼み方の形が決まっていないことです。この記事では、部署間の頼みごとを依頼書テンプレート(型)にする考え方をお話しします。入れる項目は7つ、受ける側は3つの返事で返す。置き場所と運び方、外に頼むときの費用まで書きます。
部署どうしの頼みごとで、抜けや行き違いが起きる理由
会社の中では、毎日たくさんの頼みごとが行き来します。営業から製造へ「この注文を急ぎで」、製造から総務へ「この部品の発注を」、総務から全部署へ「この書類を出してください」。小さな会社ほど、こうした頼みごとは口頭やチャットで、その場で済ませることが多いものです。
口頭やチャットは早くて便利です。でも、頼みごとが増えてくると、いくつか困ったことが起きます。何を頼んだかが記録に残らない。いつまでにが曖昧なまま進む。頼んだ人と受けた人で、頼みごとの中身の受け取り方が違う。そして、受けた人が忙しいと、頼みごとが後回しになって、そのまま忘れられてしまいます。
これは、頼んだ人や受けた人の気配りが足りないからではありません。頼みごとに決まった形がないから、毎回、頼む人が自分のやり方で伝えているのです。人によって伝える項目が違えば、抜けが出るのは自然なことです。
滋賀の中小企業では、1人がいくつもの役目をかけ持ちしていることがよくあります。営業をしながら見積りも作る、製造をしながら発注もする。かけ持ちが多いほど、頼みごとは1人のところに集まり、どれが先かが分からなくなります。依頼書の型は、頼みごとを「決まった形で受け取り、並べて見る」ための道具です。人を責める前に、形を整える。そこから始めると、部署どうしの空気も変わってきます。
型のない頼みごと
- 廊下や電話で、その場で頼む
- 「なるべく早く」など期日が曖昧
- 何のための仕事かが伝わっていない
- 受けたかどうかの返事がない
- どこまで進んだかが分からない
型のある頼みごと
- 決まった依頼書に書いて渡す
- 期日は「○月○日○時まで」と書く
- 目的と、できあがりの形を書く
- 受ける側は3つの返事のどれかで返す
- 一覧で、今どこにあるかが分かる
図1 型のない頼みごとと、型のある頼みごとをくらべる
依頼書テンプレートに入れる7つの項目
依頼書の型を作るときに、まず決めるのは項目です。項目が多すぎると、書くのが面倒になって使われません。少なすぎると、抜けが出ます。部署どうしの頼みごとなら、次の7つが目安です。
| 1. 何を | 頼みたいことを1行で。「○○の見積書を作ってほしい」 |
|---|---|
| 2. 何のために | 目的を1〜2行で。目的が分かると、受ける側が工夫できる |
| 3. いつまでに | 日付と時間。「なるべく早く」は使わない |
| 4. どんな形で | できあがりの形。紙か、データか、どのくらいの量か |
| 5. 渡すもの | 受ける側が作業に使う資料や情報。添付の有無 |
| 6. 誰から誰へ | 頼む人と受ける人の名前と部署。分からないことを聞く相手 |
| 7. 受けた返事 | 受ける側が書く欄。受ける・相談したい・受けられない |
「何のために」が、いちばん効く
7つの中で、つい省かれがちなのが「何のために」です。でも、ここがあるかないかで、受ける側の仕事の質が変わります。たとえば「この資料を10部印刷してほしい」とだけ頼まれると、受ける側はそのまま10部刷ります。「明日のお客様との打ち合わせで渡すため」と書いてあれば、「ホチキスで留めておこう」「表紙をつけたほうがいいか聞いてみよう」と、受ける側が考えて動けます。
期日は日付と時間で書く
「なるべく早く」「今週中に」は、人によって受け取り方が違います。「なるべく早く」は、頼んだ人にとっては今日中でも、受けた人にとっては来週かもしれません。期日は「○月○日の○時まで」と書きます。本当はいつまでに要るのかを、頼む人が自分で決めておくことにもなります。
受ける側の返し方:3つの返事を決めておく
依頼書の型で、頼む側と同じくらい大事なのが、受ける側の返し方です。頼みごとを受け取ったら、受ける側は決まった返事のどれかで返します。返事の種類を決めておくと、頼んだ人は「受けてもらえたか」がすぐに分かります。
受けます
書いてある内容と期日で受ける。返事をした時点で、仕事は受けた人のものになる。
相談したい
期日や形を変えれば受けられる。「金曜なら」「半分の量なら」と代わりを添える。
受けられません
今は受けられない。理由と、ほかに頼める人がいればその名前を添える。
図2 依頼を受けた側の3つの返事
「受けられません」を言える形にしておく
小さな会社では、頼みごとを断りにくい空気があります。断れないまま受けて、結局期日に間に合わない。これがいちばん困る形です。返事の中に「相談したい」と「受けられません」をはじめから入れておくと、受ける側が正直に返しやすくなります。早めに「相談したい」と返ってくれば、頼んだ人もほかの手を考えられます。
返事の期限も決めておきます。「依頼書を受け取ったら、その日のうちに返事だけはする」。中身の作業はあとでも、受けるかどうかの返事は早く返す。これだけで、頼んだ人の不安はずいぶん減ります。
紙・表計算・フォーム:依頼書の型の置き場所
依頼書の型は、会社の今のやり方に合わせて、置き場所を選びます。大きく分けて、紙、表計算ソフト、入力フォームの3つがあります。どれがよいかは、会社の人数や、パソコンを使う人の割合で変わります。
| 紙の依頼書 | パソコンを使わない人が多い職場に。複写式やトレイで受け渡す |
|---|---|
| 表計算の依頼書 | ExcelやGoogleスプレッドシート。1行が1件の一覧も作りやすい |
| 入力フォーム | スマホからも出せる。出された依頼が自動で一覧にたまる |
一覧で「今どこにあるか」を見えるようにする
どの置き場所を選んでも、出された依頼を一覧で見られるようにしておきます。依頼の日、何を、誰から誰へ、期日、返事、終わったかどうか。一覧があれば、頼んだ人は自分の依頼が今どこにあるかを確かめられます。受ける側も、自分が抱えている頼みごとを並べて見られるので、どれから手をつけるかを決めやすくなります。
紙の依頼書なら、受けた依頼をトレイやファイルに「受けた」「作業中」「終わった」と分けて入れるだけでも、一覧の代わりになります。見積書や請求書など社外に出す書類の型も同じ考え方で作れます。社内書類の「会社の型」を作る記事も参考にしてください。

依頼書の見た目:書く人が迷わない形にする
依頼書は、書く人が迷わずに書ける見た目にします。見た目を整えるのは、飾るためではなく、書きやすく、読みやすくするためです。
項目には番号をつけ、上から順に書けば終わるように並べます。書く欄の大きさは、書く量に合わせます。「何を」は1行、「何のために」は2行、のように欄の大きさで書く量を伝えると、長く書きすぎる人も、短すぎる人も減ります。期日の欄は、ほかの欄より目立つように太い枠にします。受ける側の返事の欄は、色を変えたり、線で区切ったりして、頼む側が書く欄と分けておきます。
依頼書の型を作るときに確かめること
- 項目は7つ前後に収まっているか
- 上から順に書けば終わる並びになっているか
- 「何のために」と「いつまでに」の欄があるか
- 期日の欄が目立つか
- 受ける側の返事の欄が、頼む側の欄と分かれているか
- 書き方の見本が1枚ついているか
図3 依頼書の型を作るときのチェックリスト
書き方の見本を1枚つける
型と一緒に、書き方の見本を1枚つけます。実際によくある頼みごとを例に、7つの項目を埋めたものです。見本があると、はじめて書く人も「このくらいの量で書けばいいのか」と分かります。見本は、会社でいちばん多い頼みごとで作るのがおすすめです。
依頼書の型を根づかせる:小さく始めて、決めたら守る
依頼書の型を作っても、使われなければ意味がありません。いきなり全部の頼みごとを依頼書にすると、「面倒だ」という声が出て、元のやり方に戻ってしまいます。
はじめは、抜けや行き違いが多い頼みごとに絞ります。たとえば、営業から製造への特別な注文だけ、総務への備品の発注だけ。1つの頼みごとで1か月ほど試してみて、項目や置き場所を直してから、ほかの頼みごとに広げます。
- 困りごとを選ぶ抜けが多い頼みごとを1つ
- 型を作る7つの項目と返事の欄
- 見本をつけるよくある頼みごとで
- 1か月試す使いにくいところを集める
- 広げるほかの頼みごとにも
図4 依頼書の型を根づかせる流れ
依頼書を使わない頼みごとも決めておく
すべての頼みごとを依頼書にする必要はありません。5分で終わるような小さな頼みごとまで依頼書にすると、かえって仕事が遅くなります。「半日以上かかる頼みごと」「ほかの部署にまたがる頼みごと」「お客様に関わる頼みごと」など、依頼書を使う線を決めておきます。線より下の頼みごとは、口頭やチャットで構いません。チャットでの頼み方は、社内チャットのルールの記事にまとめています。
滋賀の中小企業では、本社と工場が大津と栗東、守山と野洲のように離れていることも多く、顔を合わせずに頼みごとをする場面が増えています。離れているほど、型があることが効いてきます。決まった形で頼み、決まった形で返す。それだけで、離れた拠点どうしでも、同じ部屋にいるように仕事が回りやすくなります。
滋賀で依頼書の型を頼むなら:それナル?(木下スタジオ)の進め方
依頼書の型を作りたいけれど、どの項目を入れればいいか迷う。今ある依頼書を、書きやすい形に整えたい。そういうときは、それナル?に頼んでいただけます。それナル?は、木下スタジオ(滋賀・木下貴博)の小さい入口です。
今使っている依頼書や、頼みごとのやりとりの例をそのまま送っていただければ、量を見て時間の目安をお伝えします。型は、ExcelやWord、Googleスプレッドシートなど、会社で使い慣れているソフトで作ります。どの頼みごとを型にするかから一緒に考えたい場合は、1時間の相談から始められます。
| 1時間の相談 | 5,000円(オンライン・画面を見ながら) |
|---|---|
| 今ある依頼書を整える | 社内資料 1時間5,000円・延長30分2,500円 |
| 依頼書の型(テンプレート) | 29,800円〜 |
| 急ぎ(当日・翌日) | +50% |
料金が上がるのは、直しが決めた回数を超えたとき(1回5,000円〜)、量が増えたとき、急ぎのときの3つだけです。支払いは10万円までは納品後に一括、銀行振込です。インボイスにも対応しています。
- 窓口は1人:聞き取りから納品まで同じ人が担当し、お渡しするものは必ず目を通します。
- 値段を先に出す:時間の目安と、上がる3つの条件を、はじめに伝えます。
- 作ったデータは渡す:型はそのまま社内で項目を足したり直したりして使い続けられます。
打ち合わせは基本オンラインで、必要なときだけ伺います。型や資料のことは社内資料のページに、頼みごとの流れそのものを見直したいときは体験設計の相談のページに、料金の一覧は料金ページにまとめています。会議で決めたことを頼みごとにつなげたいときは、会議を1枚で進める記事もどうぞ。
依頼書の項目は、会社に合わせて変えられますか?
はい。この記事の7つは目安です。会社でよくある頼みごとをうかがって、要らない項目は減らし、必要な項目は足します。型のデータはそのままお渡しするので、使いながら社内で直していくこともできます。
紙の依頼書と、入力フォームのどちらがよいですか?
パソコンを使わない人が多い職場なら紙、スマホやパソコンで仕事をする人が多いならフォームや表計算が向いています。どちらがよいか迷う場合は、1時間の相談(5,000円・税抜)で、今の頼みごとの流れをうかがってから決めます。
依頼書の型は、いくらで作れますか?
型(テンプレート)は29,800円〜(税抜)です。今ある依頼書を整えるだけなら、社内資料として1時間5,000円・延長30分2,500円で受けています。量を見て、先に時間の目安をお伝えします。
型を作ったあと、社内に広めるところも手伝ってもらえますか?
型の使い方を社員の方に説明する場を作りたい場合は、会議1回の設計と進行(20,000円〜・税抜)で受けています。説明の進め方や、試す頼みごとの選び方から一緒に考えます。


