写真で作る作業手順書:滋賀の工場・店舗の教え方
「作業手順書(マニュアル)はあるのに、新しい人に教えるたびに、教える人によって言うことが違う」。滋賀の工場やお店から、こんな相談をよくいただきます。手順書は文字ばかりで、誰も開かない。この記事では、スマホで撮った写真を使って、見ればそのまま手が動く手順書を作る考え方をお話しします。1枚に1つの手順、写真は手元から、言葉は短く。置き場所と直し方、外に頼むときの費用まで書きます。
滋賀の工場・お店で、作業手順書が読まれない理由
手順書が読まれないのは、作った人の努力が足りないからではありません。多くの場合、手順書が「書いた人のための記録」になっていて、「読む人が手を動かすための道具」になっていないのです。
たとえば、A4の紙にびっしりと文字で手順が書いてある。内容は正しく、抜けもない。でも、作業台の前に立った新しい人は、手袋をしたまま、片手に部品を持ったまま、その紙を読むことになります。細かい文字を目で追いながら手を動かすのは、思った以上に難しいことです。
結局、新しい人は手順書を読まずに、近くの先輩に聞きます。先輩は自分のやり方で教えます。先輩が3人いれば、教え方も3通りになる。手順書があるのに、教え方がそろわない。滋賀の工場でも、大津や草津のお店でも、よく見かける形です。
読まれない手順書によくある形
読まれない手順書には、いくつか共通する形があります。1ページに手順がいくつも詰まっている。写真があっても小さく、どこを見ればいいか分からない。「適量」「しっかり」「きれいに」のような、人によって受け取り方が違う言葉が多い。そして、いつ作ったものか、今も正しいのかが分からない。
この4つを直すだけで、手順書はずいぶん変わります。中でもいちばん効くのが、写真の使い方です。
読まれない手順書
- 1ページに手順が5つも6つも並んでいる
- 写真が小さく、どこを見ればいいか書いていない
- 「適量」「しっかり」など人によって違う言葉
- いつ作ったか、誰に聞けばいいかが無い
見て手が動く手順書
- 1枚に手順は1つ。番号を大きく
- 写真は手元を大きく。見る場所に印をつける
- 「5秒」「2回」「線まで」のように数えられる言葉
- 直した日と、聞く相手の名前を下に入れる
図1 読まれない手順書と、見て手が動く手順書をくらべる
写真の手順書は「1枚に1つの手順」で組む
写真で手順書を作るときの基本は、1枚(1ページ、または1画面)に手順を1つだけ置くことです。写真が1枚、番号が1つ、言葉が1行から2行。これで1つの手順です。
「それだと枚数が増えすぎる」と思われるかもしれません。でも、枚数が増えても、1枚ずつを数秒で読めるなら、全体はむしろ早く読めます。作業の途中で手を止めて見るときも、今どこにいるのかがすぐ分かります。会議の資料と同じで、1枚に1つにすると、読む人が迷いません。資料の見せ方は社内資料・パワポを見やすくする記事でも詳しく書いています。
1枚の中の並べ方
1枚の中は、上から「番号と手順の名前」「写真」「ひとこと」の順に並べます。番号は大きく、手順の名前は短く。「部品をはめる」「ふたを閉める」くらいの長さです。写真はページのいちばん広いところを使います。ひとことには、写真だけでは分からないこと、たとえば「カチッと音がするまで」「赤い線が見えなくなるまで」を書きます。
番号と名前
番号は大きく。手順の名前は動詞で短く。「はめる」「閉める」「確かめる」。
写真
ページのいちばん広いところに。見てほしい場所に丸や矢印を1つだけ。
ひとこと
写真で分からないことだけを1〜2行。音・回数・目印など数えられる言葉で。
注意
けがや不良につながることだけ色を変えて。注意が多いと、どれも目に入らない。
図2 手順書1枚の中に置く4つのもの
注意書きには、色を使います。ただし、色を使うのは本当に危ないところ、本当に間違えやすいところだけにします。すべての手順に赤い注意がついていると、読む人は赤に慣れてしまい、本当に大事な注意を見落とします。
写真の撮り方:手元から、作業する人の目の高さで
手順書の写真は、スマホで十分です。大事なのは、カメラの性能よりも、どこから撮るかです。
いちばんのコツは、作業する人の目の高さから撮ることです。横から撮った写真は、見た目は分かりやすくても、実際に作業する人の見え方とは違います。作業台の前に立ち、自分の肩のあたりからスマホを構えて、手元を撮ります。こうすると、手順書を見た人が「今、自分が見ているのと同じだ」と分かります。
撮るときに気をつけたいこと
写真には、手順に関係ないものをなるべく入れません。作業台の上の工具、置きっぱなしの書類、ほかの部品。写っているものが多いほど、見る人はどこを見ればいいか迷います。撮る前に、作業台の上を片づけるだけで、写真はずいぶん見やすくなります。
明るさも大事です。工場の中は場所によって暗いことがあります。暗い写真は細かいところが見えないので、手元に明かりを足すか、窓に近い場所で撮ります。写真の撮り方はスマホで写真を撮るコツの記事にもまとめています。
手順書の写真を撮る前にそろえること
- 作業の手順を、紙に番号つきで書き出しておく
- 作業台の上を片づける(手順に使うものだけ残す)
- 手元が暗くないかを確かめる
- 作業する人の目の高さから撮る
- 1つの手順につき、少しずつ角度を変えて3枚ほど撮る
- 「よい例」と「よくない例」の両方を撮る
図3 撮影の前のチェックリスト
「よくない例」も撮っておく
手順書でよく効くのが、「よい例」と「よくない例」を並べる写真です。ねじがしっかり締まっている写真と、少し浮いている写真。ラベルがまっすぐ貼れている写真と、斜めになっている写真。2枚を並べると、言葉で「まっすぐ貼る」と書くより、ずっと早く伝わります。
ただし、よくない例は、どの手順にもつけるものではありません。間違えやすいところ、間違えると困るところに絞ります。並べすぎると、手順書がまた重くなります。
言葉の書き方:数えられる言葉で、短く
写真を中心にしても、言葉は要ります。そのときに気をつけたいのが、「適量」「しっかり」「きれいに」のような言葉です。こうした言葉は、書いた人の頭の中ではっきりしていても、読む人によって受け取り方が変わります。
代わりに、数えられる言葉を使います。「適量」なら「スプーン1杯」「線のところまで」。「しっかり締める」なら「止まるまで回して、さらに半回転」。「きれいに拭く」なら「白い布で拭いて、色がつかなくなるまで」。数えられる言葉は、誰が読んでも同じ動きになります。
主語と順番をそろえる
文の形もそろえます。「〜を〜する」の形で、動詞で終わる。「部品Aを、台の穴にはめる」「ふたを、カチッと鳴るまで押す」。文の形がそろっていると、読む人は内容だけに集中できます。外国から来て働く方がいる職場でも、短くて形のそろった文は読みやすく、翻訳もしやすくなります。
言葉の数を減らすことも大事です。1つの手順に書く言葉は、1〜2行までを目安にします。それ以上書きたくなったら、その手順を2つに分けられないか考えます。

手順書の置き場所と、直し方を決めておく
手順書は、作って終わりではありません。作業のやり方は、機械が変わったり、部品が変わったり、もっとよい方法が見つかったりして、少しずつ変わります。手順書が古いままだと、また「手順書と違うやり方」が現場に広がります。
置き場所は、作業する場所のすぐそば
手順書は、作業する場所のすぐそばに置きます。事務所の棚にあるファイルは、作業の途中では開かれません。紙に印刷してラミネートし、作業台の前に貼る。タブレットを置いて、そこで写真の手順書を開けるようにする。どちらでも構いませんが、手を止めてすぐ見られる場所であることが大事です。
紙に印刷する場合は、汚れや水に気をつけます。工場や厨房では、紙はすぐに汚れます。ラミネートするか、クリアファイルに入れておくと長く使えます。
ページの下に「直した日」と「聞く相手」
手順書の各ページの下に、直した日と、分からないときに聞く相手の名前を入れておきます。直した日があれば、その手順書が今も正しいかの目安になります。聞く相手が書いてあれば、新しい人も迷わず聞きに行けます。
直す人も決めておきます。現場でやり方が変わったら、その人に伝える。その人が写真を撮り直して、手順書を直す。直す人が決まっていないと、手順書は誰も触らないまま古くなります。人が入れ替わるときの引き継ぎにも、この手順書がそのまま使えます。
型(テンプレート)を作ると、現場の人が自分で増やせる
手順書を何十枚も作るなら、まず型(テンプレート)を作るのがおすすめです。型とは、番号・写真・ひとこと・注意・直した日の置き場所が、あらかじめ決めてあるファイルのことです。パワーポイントやWord、Googleスライドなど、会社で使い慣れているソフトで作ります。
型があれば、現場の人が自分で写真を撮って、型にはめるだけで手順書を増やせます。デザインに慣れていない人が作っても、見た目がそろいます。滋賀の製造業のように、長浜と彦根に工場が分かれているような会社でも、型が1つあれば、どの工場の手順書も同じ顔になります。
見積書や請求書のような社外に出す書類の型については、社内書類の「会社の型」を作る記事に書いています。手順書の型も考え方は同じで、決まりを先に作ってしまえば、あとは中身を入れるだけです。

滋賀で作業手順書を頼むなら:それナル?(木下スタジオ)の進め方
自分たちで作る時間がない、または最初の1本をプロに整えてもらって見本にしたい。そういうときは、外に頼むのも1つの手です。それナル?は、木下スタジオ(滋賀・木下貴博)の小さい入口で、社内資料を1時間単位で受けています。
- 手順を送る今の手順書や写真をそのまま
- 見積り量を見て時間の目安を
- 型を組む番号・写真・ひとことの置き場所
- 1本を仕上げる写真の選び方と言葉も
- 納品使い慣れたソフトのファイルで
図4 作業手順書を作るときの流れ
今ある手順書や、スマホで撮った写真をそのまま送っていただければ、量を見て時間の目安をお伝えします。撮影そのものは料金に含まれていないので、写真は現場で撮っていただく形が基本です。どこから撮ればいいか、どの写真を使うかは、こちらからお伝えします。
| 社内資料(手順書を整える) | 1時間5,000円・延長30分2,500円 |
|---|---|
| 手順書の型(テンプレート) | 29,800円〜 |
| 急ぎ(当日・翌日) | +50% |
| 含まれないもの | 撮影・印刷代(文章をゼロから書く場合は別に見積り) |
料金が上がるのは、直しが決めた回数を超えたとき(1回5,000円〜)、量が増えたとき、急ぎのときの3つだけです。支払いは10万円までは納品後に一括、銀行振込で、インボイスにも対応しています。
- 窓口は1人:聞き取りから納品まで同じ人が担当し、お渡しするものは必ず目を通します。
- 値段を先に出す:時間の目安と、含まれないものを、はじめに伝えます。
- 作ったデータは渡す:型も手順書も、そのまま社内で直して使い続けられます。
打ち合わせは基本オンラインで、必要なときだけ伺います。現場を見たほうが早い場合は、ご相談ください。手順書のことは社内資料のページに、教え方そのものを一緒に考えたいときは体験設計の相談のページに、料金の一覧は料金ページにまとめています。現場の写真を会社案内やホームページにも使いたいときは、製造業の会社案内・ホームページの記事も参考にしてください。
写真はスマホで撮ったものでも大丈夫ですか?
大丈夫です。手順書の写真で大事なのは、カメラの性能よりも、どこから撮るかと、写真に余計なものが入っていないかです。作業する人の目の高さから、手元を明るく撮っていただければ、十分に使えます。撮影そのものは料金に含まれていません。
手順書の文章も書いてもらえますか?
今ある手順書や、手順を書き出したメモがあれば、それをもとに短く、数えられる言葉に整えます。手順をゼロから聞き取って文章を書く場合は、内容をうかがって見積りします(無料)。
型を作ったあと、社内で手順書を増やせますか?
はい。型は、パワーポイントやWord、Googleスライドなど、会社で使い慣れているソフトで作り、データはそのままお渡しします。番号・写真・ひとことの置き場所が決まっているので、現場の方が写真を入れ替えるだけで手順書を増やせます。
工場やお店に来てもらうことはできますか?
打ち合わせは基本オンラインですが、現場を見たほうが早い場合は伺います。対応エリアは滋賀県内と京都・大阪・名古屋です。まずはLINEかフォームで、どんな作業の手順書かを一言お知らせください。


