会社の考え方を1枚に:滋賀の中小企業の理念の伝え方
「経営理念は額に入れて飾ってあるけれど、社員の誰も言えない」。滋賀の中小企業の社長から、こんな話をうかがうことがあります。理念や会社の考え方は、言葉そのものより、伝え方でつまずくことが多いのです。この記事では、会社の考え方を1枚にまとめる組み立て方をお話しします。上に大きな1行、その下に「だからこうする」という行動、いちばん下に具体的な場面。言葉の選び方、日々の仕事につなげる見せ方、外に頼むときの費用まで書きます。
滋賀の中小企業で、理念が伝わらない理由
多くの会社に、経営理念や社是(会社の大事な考え方を短く言ったもの)があります。創業のときに社長が考えた言葉、代々受け継いできた言葉。どれも、会社にとって大切なものです。
それなのに、社員に伝わっていない。よくある理由は3つあります。1つめは、言葉が大きすぎることです。「社会に貢献する」「お客様第一」。正しい言葉ですが、毎日の仕事で何をすればいいかまでは分かりません。2つめは、目にする場所が少ないことです。社長室や応接室の額、会社案内の最初のページ。社員が毎日見る場所にはありません。3つめは、言葉だけが置かれていて、なぜその言葉なのかが書かれていないことです。
理念の言葉を変える必要は、多くの場合ありません。変えるのは、伝え方です。大きな言葉の下に、毎日の仕事とつながる言葉を足し、毎日目にする場所に置く。それだけで、理念はぐっと身近になります。
伝わりにくい理念
- 大きな言葉だけが額に入っている
- 毎日の仕事で何をするかが書いていない
- 社長室や応接室にしか置いていない
- なぜその言葉なのかが分からない
伝わる考え方の1枚
- 大きな1行の下に「だからこうする」
- 行動は3つから5つ。動詞で書く
- 社員が毎日見る場所に置く
- 言葉ができた理由を短く添える
図1 伝わりにくい理念と、伝わる考え方の1枚をくらべる
会社の考え方の1枚は、3つの段で組む
会社の考え方を1枚にまとめるときは、3つの段で組みます。いちばん上に、会社が大事にしていることを言った大きな1行。その下に、「だから私たちはこうする」という行動を3つから5つ。いちばん下に、その行動が出てくる具体的な場面。上から下に行くほど、言葉が小さく、具体的になります。
大きな1行
会社がいちばん大事にしていること。今ある理念の言葉をそのまま使ってよい。
だからこうする
大きな1行を、毎日の行動に言い換える。3つから5つ。動詞で終える。
こんな場面で
行動ごとに、実際の仕事の場面を1つ。「お客様から急な注文が入ったとき」など。
この言葉の理由
なぜこの言葉なのかを2〜3行で。創業のときの話や、大事にしてきたこと。
図2 会社の考え方の1枚に置く4つのもの
大きな1行は、今ある言葉を生かす
いちばん上の大きな1行は、新しく作り直さなくても構いません。今ある理念の言葉を、そのまま使うのがよいことも多いです。長く使ってきた言葉には、それだけで重みがあります。ただし、長すぎる場合は、いちばん大事な部分を1行に絞り、全文は別のところに残します。
行動は、動詞で終える
2段めの行動は、「〜する」で終わる言葉にします。「誠実」「挑戦」のような名詞だけだと、何をすればいいのかが分かりません。「分からないことは、その日のうちに聞く」「約束の日を守れないと分かったら、すぐに伝える」。こう書けば、社員は今日から行動を変えられます。この行動の言葉のまとまりを、行動指針やクレド(社員が大事にする約束を短く並べたもの)と呼ぶこともあります。
言葉の選び方:社員が普段使う言葉で
考え方の1枚の言葉は、社員が普段使っている言葉で書きます。難しい漢字や、外来語、業界の外の人が使う言葉を避けます。社員が声に出して読んだときに、自分の言葉として口に出せるかどうかが目安です。
行動の言葉を作るときは、社長だけで決めず、社員にも聞くのがおすすめです。「うちの会社で、これは大事だと思う場面は」と聞くと、実際の仕事に根ざした言葉が集まります。社員から出た言葉を使うと、1枚が「上から配られたもの」ではなく「自分たちで決めたもの」になります。
言葉を決める前に確かめること
- 声に出して読んで、言いにくい言葉はないか
- 新しく入った人が読んでも分かるか
- 行動の言葉が、動詞で終わっているか
- 行動の数が多すぎないか(3つから5つ)
- どの行動にも、具体的な場面が1つ思い浮かぶか
- 今ある理念の言葉と、矛盾していないか
図3 考え方の1枚の言葉を決める前のチェックリスト
なぜこの言葉なのかを、短く書く
1枚のどこかに、この言葉ができた理由を2〜3行で書いておきます。創業のときにどんなことがあったのか、会社が大事にしてきたことは何か。理由が分かると、言葉に納得が生まれます。創業の話をもっと伝えたい場合は、会社案内やホームページに別に載せると、社外の人にも同じ考え方が伝わります。会社の紹介文の書き方は、会社紹介の文章の記事にまとめています。

考え方の1枚を、毎日の仕事につなげる見せ方
1枚ができたら、社員が毎日目にする場所に置きます。事務所の壁、休憩室、工場の入口、社内チャットのいちばん上。額に入れて応接室に飾るのは、社外の人に見せるためにはよいのですが、社員に伝えるには足りません。
大きさと形を、置く場所に合わせる
置く場所によって、ちょうどよい大きさと形が変わります。壁に貼るならA2やA3のポスター、机に置くならはがき大のカード、新しく入った人に渡すなら数ページの冊子。中身は同じでも、形を変えて何か所にも置くと、目にする回数が増えます。
どの形にするときも、色と書体はそろえます。ポスターは青、カードは緑、冊子は赤とばらばらにすると、同じ言葉でも別のものに見えてしまいます。会社の色が決まっているなら、その色を1つだけ使います。色の決め方は会社の色を決める記事にまとめています。
| 事務所・休憩室の壁 | A2〜A3のポスター。大きな1行と行動だけを大きく |
|---|---|
| 机・名札の裏 | はがき大のカード。行動の言葉だけを並べる |
| 新しく入った人に | 数ページの冊子。言葉の理由と場面までくわしく |
| 会議・朝礼 | スライド1枚。その日に関係する行動を1つ映す |
| 採用・会社案内 | 大きな1行と理由を、社外向けの言い方で |
朝礼や会議で、1つずつ取り上げる
置くだけでは、だんだん目に入らなくなります。朝礼で月に1つ行動を取り上げて、「この行動が出た場面」を誰かに話してもらう。会議の最初に、その日の話に関係する行動を1つ映す。こうして言葉を口に出す機会があると、1枚が生きた言葉になります。会議の進め方は会議を1枚で進める記事も参考にしてください。

考え方の1枚を作る順番と、見直し方
考え方の1枚は、いきなり見た目から作り始めないことが大切です。きれいなポスターができても、言葉が固まっていないと、あとから何度も作り直すことになります。作る順番は、話を聞く、言葉を決める、形にする、の3つです。
はじめに、社長から会社の考え方を聞きます。創業のときのこと、うまくいったときと苦しかったときに何を大事にしたか、これからどんな会社でいたいか。次に、社員の方から、日々の仕事で大事だと思う場面を集めます。この2つを並べると、大きな1行と、行動の言葉の候補が見えてきます。
言葉の候補ができたら、何人かの社員に読んでもらい、言いにくいところや分かりにくいところを直します。言葉が決まってから、ポスターやカードなど、置く場所に合わせた形にします。見た目は、言葉を運ぶためのものです。言葉より先に決めると、言葉が見た目に合わせて曲がってしまいます。
1年に1度、言葉を読み直す
1枚ができたあとも、1年に1度くらいは読み直します。大きな1行は、そう簡単には変わりません。でも、行動の言葉や場面は、会社の仕事が変われば合わなくなることがあります。新しい事業を始めた、人が増えた、働き方が変わった。そうしたときは、行動の言葉を1つ入れ替えるだけでも、1枚がまた今の会社の言葉に戻ります。
社内の1枚を、採用や会社案内にも使う
会社の考え方の1枚は、社内のためだけのものではありません。採用のときに「うちはこういう考え方の会社です」と見せれば、合う人が集まりやすくなります。会社案内やホームページにも同じ言葉を使えば、社内と社外で同じことを言っている会社になります。
滋賀の中小企業では、大津や近江八幡、長浜のように、地元で長く続いてきた会社も多くあります。長く続いてきた理由は、たいてい会社の考え方の中にあります。それを1枚にしておくと、地元の人に向けても、新しく入る人に向けても、会社の芯を同じ言葉で話せます。採用のチラシやポスターについては求人チラシ・ポスターの記事に、小さな会社が自分たちらしさを決める考え方は小さなブランドの記事にまとめています。
滋賀で会社の考え方の整理を頼むなら:それナル?(木下スタジオ)の進め方
考え方はあるけれど、言葉にまとめるのが難しい。言葉はあるけれど、伝わる1枚の形にしたい。そういうときは、それナル?に頼んでいただけます。それナル?は、木下スタジオ(滋賀・木下貴博)の小さい入口です。
言葉の整理から始める場合は、1時間の相談で、今ある理念や社長の思いをうかがいます。社員の方の声を集めたいときは、会議の設計と進行で、行動の言葉を出し合う場を進めます。まとまった言葉を1枚にするのは、社内資料として受けます。ポスターや冊子など形が決まっているものは、それぞれの料金で見積りします。
| 1時間の相談 | 5,000円(オンライン・画面を見ながら) |
|---|---|
| 会議1回の設計と進行 | 20,000円〜(決めることの整理から、その場の進行まで) |
| 考え方の1枚を整える | 社内資料 1時間5,000円・延長30分2,500円 |
| 壁に貼るポスター(B2・B1) | 39,800円〜 |
| 冊子など | 内容をうかがって見積り(無料) |
- 窓口は1人:聞き取りから納品まで同じ人が担当し、お渡しするものは必ず目を通します。
- 値段を先に出す:時間の目安と、含まれないものを、はじめに伝えます。
- 作ったデータは渡す:1枚もポスターも、社内で印刷し直して使い続けられます。
打ち合わせは基本オンラインで、必要なときだけ伺います。言葉の整理や考え方の相談は体験設計の相談のページに、社員の方と決める場の進め方は会議のページに、1枚の資料は社内資料のページにまとめています。
経営理念の言葉そのものを考えてもらえますか?
言葉は、社長や社員の方の話から一緒にまとめます。こちらで一から作った言葉より、会社の中から出てきた言葉のほうが長く使われるからです。まずは1時間の相談(5,000円・税抜)で、今ある理念や大事にしてきたことをうかがいます。
今ある理念を変えずに、伝え方だけ直せますか?
はい。多くの場合、理念の言葉は変えずに、その下に行動と場面を足すだけで伝わり方が変わります。今ある言葉を送っていただければ、1枚にまとめる形をご提案します。
ポスターやカードにもできますか?
できます。壁に貼るポスター(B2・B1)は39,800円〜(税抜)です。カードや冊子など、料金表にない形は内容をうかがって見積りします(無料)。同じ言葉と色で何か所にも置けるように、まとめて作るのがおすすめです。
社員の意見を集める場も進めてもらえますか?
はい。会議1回の設計と進行(20,000円〜・税抜)で、社員の方から行動の言葉を出し合うところから進めます。オンラインが基本ですが、必要なときは伺います。


