小さな会社のブランディング入門:言葉・色・形をそろえる(滋賀)
「ブランディング」と聞くと、大きな会社が高いお金をかけてやるもの、と感じる方は多いと思います。滋賀の小さな会社やお店にとってのブランディングは、もっと身近なことです。名刺、看板、ホームページ、SNS。お客さんの目にふれるものの言い方と色と形を、そろえておくこと。この記事では、何から決めればいいか、いまあるものをどこから直すか、デザインを頼むときの順番までをお伝えします。
ブランディングは「高いもの」ではない
ブランディングという言葉には、少し大げさな響きがあります。広告を打つこと、立派なロゴを作ること、会社の理念を額に入れて飾ること。そんな印象を持たれている方もいるかもしれません。
けれど、小さな会社やお店にとって大事なのは、もっと手前のことです。お客さんが、名刺を受け取ったとき、店の前の看板を見たとき、スマホでホームページを開いたとき、SNSの投稿を見かけたとき。そのどれもが「同じ会社だ」と分かること。これだけで、覚えてもらいやすさはずいぶん変わります。
逆に、名刺は青、看板は赤、ホームページは緑、SNSの画像は毎回ちがう色、という状態だと、見る人はそのたびに「これはどこの会社だったか」と考え直すことになります。1つ1つはきちんと作られていても、並べたときにばらばらだと、印象が積み重なりません。
よくある形
- 名刺・看板・ホームページを、別の時期に別の人が作った
- 会社の名前の書き方が、ものによってちがう
- 色はそのとき作った人の好みで決まっている
- 紹介文が、名刺とホームページで別の言い方
そろえると伝わる
- どれを見ても、同じ会社だとすぐ分かる
- 名前の書き方と、ロゴの置き方が決まっている
- 使う色が2〜3色に決まっている
- 会社を一言で言う文が、どこでも同じ
図1 ばらばらの状態と、そろっている状態
ブランディングを「お金をかけて特別なものを作ること」と考えると、小さな会社にはいつまでも関係のない話になってしまいます。「すでにあるものを、そろえること」と考えると、明日からでも始められます。
そろえるのは「言葉・色・形」の3つ
そろえるものは、大きく3つに分けられます。言葉、色、形です。どれも、むずかしい理論はいりません。決めて、書き留めて、毎回それを使う。それだけです。
言葉
会社を一言で言う文。名前の書き方。お客さんへの呼びかけ方。
色
いつも使う色を2〜3色。メインの色と、文字の色と、差し色。
形
ロゴと、その置き方。字の種類(書体)を1〜2つに決める。
図2 そろえる3つのもの
言葉:会社を一言で言う文を1つ決める
いちばん先に決めたいのは、言葉です。「うちは何をしている会社か」を一言で言う文を1つ決めます。たとえば、地域の工務店なら「大津で、家の小さな直しから相談できる工務店」のような一文です。
この一文が決まると、名刺の裏、ホームページのいちばん上、看板の小さな文字、SNSのプロフィールに、同じ文を置けます。言い方がそろうと、見る人は「この会社はこういう会社だ」と覚えやすくなります。
あわせて、名前の書き方も決めておきます。「株式会社」を付けるか付けないか。カタカナか英字か。お店の名前に読みがなを添えるか。小さなことですが、ものによって書き方がちがうと、別の会社に見えることがあります。会社紹介の文の書き方は「会社紹介の文章の書き方」にまとめています。
色:2〜3色に絞って、番号で残す
色は、メインの色を1つ、文字の色を1つ、目立たせたいところに使う差し色を1つ。このくらいに絞ると、どこに使ってもまとまりやすくなります。
大事なのは、色を「青っぽい色」のような言葉ではなく、番号で残しておくことです。印刷のときの色の指定と、画面で使うときの色の指定は、書き方がちがいます。両方を書き留めておくと、看板屋さんや印刷所、ホームページを作る人に、同じ色を伝えられます。色の選び方は「会社の色の決め方」でくわしく書いています。
形:ロゴと、その置き方を決める
形の中心はロゴです。ただ、ロゴを作っただけでは、そろいません。白い紙に置くとき、色の地に置くとき、小さく置くとき、横長の場所に置くとき。それぞれでどう置くかを決めておくことで、名刺にも看板にもホームページにも、同じ顔で載せられます。
もう1つ、字の種類(書体)も1〜2つに決めておくと、チラシやSNSの画像を作るときに迷いません。見出しはこの字、本文はこの字、と決めておくだけで、ちがう人が作っても似た空気になります。

名刺・看板・ホームページ・SNSで、そろえる場所
言葉・色・形が決まったら、それをお客さんの目にふれる場所に置いていきます。小さな会社やお店で、よく使われる場所を表にまとめました。
| 場所 | 言葉 | 色 | 形 |
|---|---|---|---|
| 名刺 | 会社を一言で言う文を裏に | メインの色を面か線で1か所 | ロゴを表に。置き方は決まりどおり |
| 看板・のぼり | 一言の文を短くして | 遠くから見える色の組み合わせ | ロゴを大きく。遠くから読める大きさ |
| ホームページ | いちばん上に一言の文 | ボタンや見出しに差し色 | ロゴを左上に。書体をそろえる |
| SNS | プロフィールに一言の文 | 画像の地や枠にメインの色 | アイコンにロゴ。画像の型を決める |
| チラシ | 見出しの近くに一言の文 | メインの色と差し色 | ロゴを決まった位置に |
全部を一度に作り直す必要はありません。次に作るものから、決めたものを使っていけば、少しずつそろっていきます。名刺の作り方は「滋賀で名刺を作るとき」、SNSの画像は「SNSのバナーの作り方」に書いています。

滋賀の小さな会社が、いまあるものから直す順番
滋賀でお店や会社を続けてきた方ほど、名刺や看板やホームページを、時期をずらして作ってきていることが多いものです。すでにあるものを全部捨てる必要はありません。いまあるものを並べて、どこから直すかを決めます。
- 並べる名刺・看板・HP・SNS・チラシを1か所に
- 残すものを決めるいちばん知られている顔はどれか
- 言葉・色・形を書く1枚の紙にまとめる
- 次に作るものから決めたとおりに作る
- 古いものを順に替える刷り直しや更新のときに
図3 いまあるものから、そろえていく順番
いちばん知られている顔を残す
並べてみると、「お客さんに一番覚えられているのは、実は店先の看板だった」ということがあります。長く使ってきた看板の色や字は、それだけでお店の顔になっています。新しく作るより、その顔を残して、ほかのものをそちらに寄せるほうが、お客さんにとっても分かりやすいことが多いです。
ロゴは、作り直すか、整えるか
ロゴがすでにある場合、まるごと作り直すのか、形はそのままで線の太さや字を整えるのか、を先に考えます。整えるだけで足りることも多く、そのほうが費用もおさえられます。どちらがよいかの考え方は「ロゴを作り直すかどうか」で書いています。ロゴがまだ無い場合は「小さな会社のロゴの作り方」から読むと流れがつかめます。
そろえる前に、手元に集めるもの
- いま使っている名刺(表と裏)
- 看板・のぼりの写真(遠くから1枚、近くから1枚)
- ホームページのURLと、SNSのアカウント
- 最近作ったチラシや案内の紙
- ロゴのデータ(あれば。無ければ写真でも)
デザインを頼むときは、ロゴと名刺を一緒に
言葉・色・形をそろえる、と言っても、自分たちだけで決めるのはむずかしいものです。デザインを頼むなら、ロゴと名刺を一緒に作り、その中で色と書体と置き方まで決めてしまうのが、いちばん近道です。
それナル?のロゴは、3案をお出しして1つに決める形で、名刺のデザインまで含めています。あわせて、小さくするとどこまでか、白地と黒地でどう置くか、といった使い方の決まりを1枚にまとめてお渡しします。この1枚があると、あとで看板屋さんや印刷所、ホームページを作る人に頼むときも、同じものを伝えられます。
頼むときに伝えると、決まりやすいこと
ロゴを頼むとき、「かっこよく」「親しみやすく」のような言葉だけだと、作る側も選ぶ側も迷いやすくなります。それよりも、何をしている会社か、誰に見てほしいか、どこに一番よく載るか、の3つを伝えていただくと、方向が決まりやすくなります。たとえば、いちばん大きく載るのが店先の看板なのか、スマホの小さなアイコンなのかで、向いている形は変わります。うまく言葉にできなくても、話しながらこちらから聞いていくので大丈夫です。

アートディレクターの目線:「らしさ」は、そろえたあとに見えてくる
それナル?を運営する木下スタジオの木下貴博は、滋賀でアートディレクションからグラフィック、文字の制作までを一人で手がけています。99lettersという名前で海外のレーベルから音楽をリリースしていて、20年ほど続けてきました。音楽では、偶然できた音色から、いつのまにか1曲になっていきます。個性は先に固めるものではなく、作ったあとに気づくもの。デザインも同じ順番で作っています。小さな会社の方から「うちらしさが分からないので、ブランディングはまだ早い」と聞くことがあります。けれど、らしさを言葉にできてから始める必要はありません。言葉と色と形を決めて、名刺や看板にそろえて置いていくうちに、「これがうちの顔だ」と気づくことのほうが多いものです。見た目を飾る前に、なぜこの色なのか、なぜこの形なのかを説明できるようにしておく。それが、あとから迷わないための土台になります。
ブランディングにかかる費用の目安(滋賀・それナル?の場合)
それナル?では、料金を先に全部出しています。言葉・色・形をそろえるときに、よく組み合わせて頼まれるものをまとめました。
| 頼むもの | 料金 | メモ |
|---|---|---|
| ロゴ | 49,800円〜 | 3案から1つ・名刺デザイン込み・使い方の決まり1枚込み |
| ロゴの日本語版だけ | 29,800円〜 | 英字のロゴがすでにある場合 |
| 名刺(ロゴなしで) | 14,800円〜 | 両面・印刷代は別 |
| のぼり・置き看板 | 19,800円〜 | 製作費・取付費は別 |
| 野立て・壁面の看板 | 39,800円〜 | 現場写真への合成つき・製作費・取付費は別 |
| ホームページ1ページ(相談しながら) | 49,800円 | 打ち合わせ1回・修正2回まで |
| バナー・SNS画像 | 5,000円〜/枚 | 決めた色と書体で作る |
金額が上がるのは、直しが決めた回数を超えたとき(1回5,000円〜)、ページや枚数が増えたとき、急ぎのときの3つだけです。上がる前に必ずお伝えします。印刷代や看板の製作費、サーバー・ドメイン代は含まれていません。
滋賀でロゴ・名刺から頼むなら:それナル?(木下スタジオ)の進め方
それナル?は、滋賀の木下スタジオ(木下貴博)が運営している、小さく頼める窓口です。大津・草津・守山・近江八幡・彦根など滋賀県内を中心に、京都・大阪・名古屋や全国からもオンラインで受けています。
- 窓口は1人。聞き取りから納品まで同じ人が受けます
- 値段を先に出します。印刷代や看板の製作費など、含まれないものも先にお伝えします
- 作ったデータはお渡しします。あとで別の人に頼むときも困りません
紙(名刺・チラシ・看板)からホームページ、社内資料までまとめて頼めるので、言い方と色がそろいます。ロゴのことはロゴ・名刺のページ、チラシや看板のことはチラシ・ポスターのページにまとめています。打ち合わせは基本オンラインで、必要なときだけ伺います。返事は24時間以内です(土日祝は翌営業日)。
小さなお店でも、ブランディングは必要ですか?
大きなことをする必要はありません。名刺・看板・ホームページ・SNSで、言い方と色と形をそろえておくだけでも、お客さんに覚えてもらいやすくなります。次に作るものから、決めたとおりに作っていけば十分です。
いまの看板や名刺は、全部作り直さないといけませんか?
いいえ。いちばん知られている顔を残して、ほかのものをそちらに寄せる形が多いです。刷り直しや更新のタイミングで、順に替えていけば大丈夫です。
ロゴを頼むと、色や書体も決めてもらえますか?
決めます。ロゴと一緒に、色と書体、小さくするとどこまでか、白地と黒地でどう置くか、を使い方の決まりとして1枚にまとめてお渡しします。ロゴと一緒なら、この1枚は料金に含まれています。
自分たちで作ったロゴを、整えるだけでもいいですか?
できます。形はそのままで、線の太さや字を整える直し方もあります。全部作り替えるより費用をおさえられます。まずは今のロゴのデータか写真を送ってください。


