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小さな会社のブランディング入門:言葉・色・形をそろえる(滋賀)

2026.10.07 · 読む時間 約9分 · 木下スタジオ 木下貴博

小さな会社のブランディング入門:言葉・色・形をそろえる(滋賀)

「ブランディング」と聞くと、大きな会社が高いお金をかけてやるもの、と感じる方は多いと思います。滋賀の小さな会社やお店にとってのブランディングは、もっと身近なことです。名刺、看板、ホームページ、SNS。お客さんの目にふれるものの言い方と色と形を、そろえておくこと。この記事では、何から決めればいいか、いまあるものをどこから直すか、デザインを頼むときの順番までをお伝えします。

ブランディングは「高いもの」ではない

ブランディングという言葉には、少し大げさな響きがあります。広告を打つこと、立派なロゴを作ること、会社の理念を額に入れて飾ること。そんな印象を持たれている方もいるかもしれません。

けれど、小さな会社やお店にとって大事なのは、もっと手前のことです。お客さんが、名刺を受け取ったとき、店の前の看板を見たとき、スマホでホームページを開いたとき、SNSの投稿を見かけたとき。そのどれもが「同じ会社だ」と分かること。これだけで、覚えてもらいやすさはずいぶん変わります。

逆に、名刺は青、看板は赤、ホームページは緑、SNSの画像は毎回ちがう色、という状態だと、見る人はそのたびに「これはどこの会社だったか」と考え直すことになります。1つ1つはきちんと作られていても、並べたときにばらばらだと、印象が積み重なりません。

よくある形

  • 名刺・看板・ホームページを、別の時期に別の人が作った
  • 会社の名前の書き方が、ものによってちがう
  • 色はそのとき作った人の好みで決まっている
  • 紹介文が、名刺とホームページで別の言い方

そろえると伝わる

  • どれを見ても、同じ会社だとすぐ分かる
  • 名前の書き方と、ロゴの置き方が決まっている
  • 使う色が2〜3色に決まっている
  • 会社を一言で言う文が、どこでも同じ

図1 ばらばらの状態と、そろっている状態

ブランディングを「お金をかけて特別なものを作ること」と考えると、小さな会社にはいつまでも関係のない話になってしまいます。「すでにあるものを、そろえること」と考えると、明日からでも始められます。

そろえるのは「言葉・色・形」の3つ

そろえるものは、大きく3つに分けられます。言葉、色、形です。どれも、むずかしい理論はいりません。決めて、書き留めて、毎回それを使う。それだけです。

01

言葉

会社を一言で言う文。名前の書き方。お客さんへの呼びかけ方。

02

色

いつも使う色を2〜3色。メインの色と、文字の色と、差し色。

03

形

ロゴと、その置き方。字の種類(書体)を1〜2つに決める。

図2 そろえる3つのもの

言葉:会社を一言で言う文を1つ決める

いちばん先に決めたいのは、言葉です。「うちは何をしている会社か」を一言で言う文を1つ決めます。たとえば、地域の工務店なら「大津で、家の小さな直しから相談できる工務店」のような一文です。

この一文が決まると、名刺の裏、ホームページのいちばん上、看板の小さな文字、SNSのプロフィールに、同じ文を置けます。言い方がそろうと、見る人は「この会社はこういう会社だ」と覚えやすくなります。

あわせて、名前の書き方も決めておきます。「株式会社」を付けるか付けないか。カタカナか英字か。お店の名前に読みがなを添えるか。小さなことですが、ものによって書き方がちがうと、別の会社に見えることがあります。会社紹介の文の書き方は「会社紹介の文章の書き方」にまとめています。

色:2〜3色に絞って、番号で残す

色は、メインの色を1つ、文字の色を1つ、目立たせたいところに使う差し色を1つ。このくらいに絞ると、どこに使ってもまとまりやすくなります。

大事なのは、色を「青っぽい色」のような言葉ではなく、番号で残しておくことです。印刷のときの色の指定と、画面で使うときの色の指定は、書き方がちがいます。両方を書き留めておくと、看板屋さんや印刷所、ホームページを作る人に、同じ色を伝えられます。色の選び方は「会社の色の決め方」でくわしく書いています。

形:ロゴと、その置き方を決める

形の中心はロゴです。ただ、ロゴを作っただけでは、そろいません。白い紙に置くとき、色の地に置くとき、小さく置くとき、横長の場所に置くとき。それぞれでどう置くかを決めておくことで、名刺にも看板にもホームページにも、同じ顔で載せられます。

もう1つ、字の種類(書体)も1〜2つに決めておくと、チラシやSNSの画像を作るときに迷いません。見出しはこの字、本文はこの字、と決めておくだけで、ちがう人が作っても似た空気になります。

空き家の相談窓口のマークを、横組み・縦組み・白地・色地に並べたサイン計画のデザイン
制作例:住宅・不動産のサイン計画。同じマークを、横組み・縦組み・白地・色地まで並べたところ。どこに置いても線の太さが変わらないようにしています。

名刺・看板・ホームページ・SNSで、そろえる場所

言葉・色・形が決まったら、それをお客さんの目にふれる場所に置いていきます。小さな会社やお店で、よく使われる場所を表にまとめました。

表1 どこに、何を置くか
場所言葉色形
名刺会社を一言で言う文を裏にメインの色を面か線で1か所ロゴを表に。置き方は決まりどおり
看板・のぼり一言の文を短くして遠くから見える色の組み合わせロゴを大きく。遠くから読める大きさ
ホームページいちばん上に一言の文ボタンや見出しに差し色ロゴを左上に。書体をそろえる
SNSプロフィールに一言の文画像の地や枠にメインの色アイコンにロゴ。画像の型を決める
チラシ見出しの近くに一言の文メインの色と差し色ロゴを決まった位置に

全部を一度に作り直す必要はありません。次に作るものから、決めたものを使っていけば、少しずつそろっていきます。名刺の作り方は「滋賀で名刺を作るとき」、SNSの画像は「SNSのバナーの作り方」に書いています。

和菓子店の名刺のデザイン見本。ロゴの一部である山の稜線を紙の横いっぱいに1本引いている
制作例(見本):和菓子店の名刺。ロゴの h の頭=比良山の稜線だけを取り出して、紙の横いっぱいに1本引き、罫の代わりにしました。ロゴの形を名刺の中でもそのまま使うと、別々に作っても同じ店に見えます。

滋賀の小さな会社が、いまあるものから直す順番

滋賀でお店や会社を続けてきた方ほど、名刺や看板やホームページを、時期をずらして作ってきていることが多いものです。すでにあるものを全部捨てる必要はありません。いまあるものを並べて、どこから直すかを決めます。

  1. 並べる名刺・看板・HP・SNS・チラシを1か所に
  2. 残すものを決めるいちばん知られている顔はどれか
  3. 言葉・色・形を書く1枚の紙にまとめる
  4. 次に作るものから決めたとおりに作る
  5. 古いものを順に替える刷り直しや更新のときに

図3 いまあるものから、そろえていく順番

いちばん知られている顔を残す

並べてみると、「お客さんに一番覚えられているのは、実は店先の看板だった」ということがあります。長く使ってきた看板の色や字は、それだけでお店の顔になっています。新しく作るより、その顔を残して、ほかのものをそちらに寄せるほうが、お客さんにとっても分かりやすいことが多いです。

ロゴは、作り直すか、整えるか

ロゴがすでにある場合、まるごと作り直すのか、形はそのままで線の太さや字を整えるのか、を先に考えます。整えるだけで足りることも多く、そのほうが費用もおさえられます。どちらがよいかの考え方は「ロゴを作り直すかどうか」で書いています。ロゴがまだ無い場合は「小さな会社のロゴの作り方」から読むと流れがつかめます。

そろえる前に、手元に集めるもの

  • いま使っている名刺(表と裏)
  • 看板・のぼりの写真(遠くから1枚、近くから1枚)
  • ホームページのURLと、SNSのアカウント
  • 最近作ったチラシや案内の紙
  • ロゴのデータ(あれば。無ければ写真でも)

デザインを頼むときは、ロゴと名刺を一緒に

言葉・色・形をそろえる、と言っても、自分たちだけで決めるのはむずかしいものです。デザインを頼むなら、ロゴと名刺を一緒に作り、その中で色と書体と置き方まで決めてしまうのが、いちばん近道です。

それナル?のロゴは、3案をお出しして1つに決める形で、名刺のデザインまで含めています。あわせて、小さくするとどこまでか、白地と黒地でどう置くか、といった使い方の決まりを1枚にまとめてお渡しします。この1枚があると、あとで看板屋さんや印刷所、ホームページを作る人に頼むときも、同じものを伝えられます。

頼むときに伝えると、決まりやすいこと

ロゴを頼むとき、「かっこよく」「親しみやすく」のような言葉だけだと、作る側も選ぶ側も迷いやすくなります。それよりも、何をしている会社か、誰に見てほしいか、どこに一番よく載るか、の3つを伝えていただくと、方向が決まりやすくなります。たとえば、いちばん大きく載るのが店先の看板なのか、スマホの小さなアイコンなのかで、向いている形は変わります。うまく言葉にできなくても、話しながらこちらから聞いていくので大丈夫です。

和菓子店のロゴのデザイン見本。同じ太さの線1本で書いた小文字で、hの上が山の形になっている
制作例(見本):和菓子店「比良製菓」のロゴ。同じ太さの線1本で書いた小文字。h の上だけを山(比良山)の形に立ち上げています。

アートディレクターの目線:「らしさ」は、そろえたあとに見えてくる

それナル?を運営する木下スタジオの木下貴博は、滋賀でアートディレクションからグラフィック、文字の制作までを一人で手がけています。99lettersという名前で海外のレーベルから音楽をリリースしていて、20年ほど続けてきました。音楽では、偶然できた音色から、いつのまにか1曲になっていきます。個性は先に固めるものではなく、作ったあとに気づくもの。デザインも同じ順番で作っています。小さな会社の方から「うちらしさが分からないので、ブランディングはまだ早い」と聞くことがあります。けれど、らしさを言葉にできてから始める必要はありません。言葉と色と形を決めて、名刺や看板にそろえて置いていくうちに、「これがうちの顔だ」と気づくことのほうが多いものです。見た目を飾る前に、なぜこの色なのか、なぜこの形なのかを説明できるようにしておく。それが、あとから迷わないための土台になります。

ブランディングにかかる費用の目安(滋賀・それナル?の場合)

それナル?では、料金を先に全部出しています。言葉・色・形をそろえるときに、よく組み合わせて頼まれるものをまとめました。

表2 そろえるときによく頼まれるもの(税抜)
頼むもの料金メモ
ロゴ49,800円〜3案から1つ・名刺デザイン込み・使い方の決まり1枚込み
ロゴの日本語版だけ29,800円〜英字のロゴがすでにある場合
名刺(ロゴなしで)14,800円〜両面・印刷代は別
のぼり・置き看板19,800円〜製作費・取付費は別
野立て・壁面の看板39,800円〜現場写真への合成つき・製作費・取付費は別
ホームページ1ページ(相談しながら)49,800円打ち合わせ1回・修正2回まで
バナー・SNS画像5,000円〜/枚決めた色と書体で作る

金額が上がるのは、直しが決めた回数を超えたとき(1回5,000円〜)、ページや枚数が増えたとき、急ぎのときの3つだけです。上がる前に必ずお伝えします。印刷代や看板の製作費、サーバー・ドメイン代は含まれていません。

ポイント全部を一度に頼まなくても大丈夫です。ロゴと名刺だけ先に作り、看板やホームページは替えるときに、決めた色と形で作る。この順番でも、少しずつそろっていきます。

滋賀でロゴ・名刺から頼むなら:それナル?(木下スタジオ)の進め方

それナル?は、滋賀の木下スタジオ(木下貴博)が運営している、小さく頼める窓口です。大津・草津・守山・近江八幡・彦根など滋賀県内を中心に、京都・大阪・名古屋や全国からもオンラインで受けています。

  • 窓口は1人。聞き取りから納品まで同じ人が受けます
  • 値段を先に出します。印刷代や看板の製作費など、含まれないものも先にお伝えします
  • 作ったデータはお渡しします。あとで別の人に頼むときも困りません

紙(名刺・チラシ・看板)からホームページ、社内資料までまとめて頼めるので、言い方と色がそろいます。ロゴのことはロゴ・名刺のページ、チラシや看板のことはチラシ・ポスターのページにまとめています。打ち合わせは基本オンラインで、必要なときだけ伺います。返事は24時間以内です(土日祝は翌営業日)。

小さなお店でも、ブランディングは必要ですか?

大きなことをする必要はありません。名刺・看板・ホームページ・SNSで、言い方と色と形をそろえておくだけでも、お客さんに覚えてもらいやすくなります。次に作るものから、決めたとおりに作っていけば十分です。

いまの看板や名刺は、全部作り直さないといけませんか?

いいえ。いちばん知られている顔を残して、ほかのものをそちらに寄せる形が多いです。刷り直しや更新のタイミングで、順に替えていけば大丈夫です。

ロゴを頼むと、色や書体も決めてもらえますか?

決めます。ロゴと一緒に、色と書体、小さくするとどこまでか、白地と黒地でどう置くか、を使い方の決まりとして1枚にまとめてお渡しします。ロゴと一緒なら、この1枚は料金に含まれています。

自分たちで作ったロゴを、整えるだけでもいいですか?

できます。形はそのままで、線の太さや字を整える直し方もあります。全部作り替えるより費用をおさえられます。まずは今のロゴのデータか写真を送ってください。

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